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【PickUp企業】中小企業でも大ヒット商品をつくれる!−スズキ機工株式会社②

【PickUp企業】中小企業でも大ヒット商品をつくれる!−スズキ機工株式会社②

社員わずか16名の産業用自動機メーカーに、年間100社を超える企業が視察に訪れています。その会社の名は「スズキ機工」。1976年に18L缶の製造機械メンテナンス事業からスタートした同社は、食品業界向けの産業用自動機メーカーへと転身し、さらにはテレビでも取り上げられる「絶対に止まらない潤滑剤 LSベルハンマー」をはじめとするヒットメーカーになりました。

今でこそ「中小企業の星」として注目を浴びる同社ですが、今に至るまで幾度も社内外の軋轢、経営危機を乗り越えてきたのだとか。そこで今回は、自ら「弱者の経営戦略」と表現する、「中小企業が危機を切り抜け、飛躍を遂げるためのヒント」を代表取締役の鈴木豊氏に伺いました。

人だかりができる展示会ブースの作り方

産業用自動機の事業から派生して、新規事業として自社製品開発を行うようになったスズキ機工。機械の維持管理に欠かせない潤滑油の性能に目をつけて、高性能潤滑の「LSベルハンマー」を生み出しました。テレビで取り上げられたことがきっかけで大ブレークし、2カ月も欠品が続いてしまったこともある人気商品ですが、最初の数年間は、全くといっていいほど売れなかったといいます。

「潤滑性能は市販のモノより段違いに高いので、一度試したお客さまは継続して買ってくれます。しかしながら、LSベルハンマーの需要は日本全国にあるはず。そこで『全国からお客さまが情報を求めにくるのはどこだろう……?』と考えて展示会に出展することを決めました。東京ビックサイトの国際食品工業展など、これまでさまざまな展示会に出展しました」と鈴木社長。

鈴木豊氏。大学卒業後、食品原料商社の営業として活躍。1997年より同社を立て直すために入社し、2007年より代表取締役に就任

鈴木豊氏。大学卒業後、食品原料商社の営業として活躍。1997年より同社を立て直すために入社し、2007年より代表取締役に就任

当然、展示会出展には多額のお金がかかります。スズキ機工は年間1,200万円もの広告予算を投下し、展示会やインターネット広告をフル活用しています。

「当社のブースはいつも人だかりができ、LSベルハンマーのデモを見てもらうだけで『すごい!』といってくれます。でも、最初のころは途中でパタッと客足が途絶えることがありました。原因を探るために観察した結果、常に誰かがデモを見ている状態をつくれば『なんだ? なんだ?』と人が集まると分かりました。そこで、デモ機を倍増させることで常に人だかりができる状態をつくりました」

潤滑剤の性能を体験してもらうためのデモ機。人が人を呼ぶ効果を生み出すために同時に複数台を動かしている

潤滑剤の性能を体験してもらうためのデモ機。人が人を呼ぶ効果を生み出すために同時に複数台を動かしている

潤滑剤の性能を体験してもらうためのデモ機。人が人を呼ぶ効果を生み出すために同時に複数台を動かしている

その作戦が功を奏し、なんと4日間の会期中に4,000人が訪れたこともあるのだとか。スズキ機工のブースの盛り上がりを、取材に訪れていたテレビの取材班も注目していました。TBSの『がっちりマンデー』という全国ネットの番組で取り上げられ、LSベルハンマーは文字どおり飛ぶように売れる商品になったのです。

インターネットをフル活用!コスパ抜群の販促戦略

スズキ機工はインターネット販売にも積極的に注力しています。楽天、Amazon、Yahoo!などのネットショッピングサイトを利用するのはもちろんのこと、どのショッピングサイトでも、LSベルハンマーの潤滑性能とその仕組みが丁寧に紹介されています。

さらに多数寄せられているユーザーのコメントもアピール材料として有効利用。LSベルハンマーの使用事例もたっぷりと紹介し、サイト訪問者の購入動機を形成しています。

また、スズキ機工の取り組みの紹介や、ショッピングサイトへの誘導にはFacebookも活用。動画をうまく使うことで、販促に役立てています。

「スズキ機工のFacebookのフォロワー数は4,400人くらい。この数自体はたいしたものではないかもしれませんが、LS ベルハンマーの簡単なPR動画を使って広告を出したら、約28万回も再生されました。シェアされた回数やコメント数もかなり多く、また動画を見て良いと思った人は、ショッピングサイトからすぐに購入することもできます。これでかかったコストはわずか30万円。同じことをDM(ダイレクトメール)でやるとしたら、1通60円として1,800万円近くかかったでしょう。DMの60分の1のコストで、同じかそれ以上の効果を得られるのがインターネットの力です」

LSベルハンマーを1人1本に限り定価の約半額で購入できるキャンペーンも行いました。「半額」というインパクトのある企画でも、知ってもらわなければ意味がありません。知ってもらうという点に関して、インターネットは大きな力となります。

ちなみに、商品を半額で販売したら赤字になるそうです。それでもやるのは、必ずリピートされる自信があるから。「絶えず消費され需要がある」という「商売の本質」を満たした商品の特性を最大限生かしたキャンペーンといえます。

中小企業に「千載一遇のチャンス」がやってきた

インターネットを活用した販売戦略が成功しているスズキ機工。会社見学にやってくる方に、鈴木社長は「中小企業に追い風が吹いている」と伝えているといいます。大手企業のように潤沢な広告費でマス広告を使わなくても、消費者にアプローチできる時代がやってきたからです。

「Facebookがあったから30万円のコストで30万人にLS ベルハンマーのことを知ってもらう機会をつくることができました。当社は16人の会社ですが、今のインターネット環境を利用すれば、ニッチな新製品であっても確実に販売に結びつけることができます。20年前だったら今のようにいかなかったと思います」

事務所に置かれている、名刺管理アプリ「Sansan」に名刺を取り込むためのスキャナ。販売促進以外でもインターネットの活用、デジタル化を推進し、合理的な投資を積極的に行っている

事務所に置かれている、名刺管理アプリ「Sansan」に名刺を取り込むためのスキャナ。販売促進以外でもインターネットの活用、デジタル化を推進し、合理的な投資を積極的に行っている

さらに、中小企業ならではの機動力も武器になると鈴木社長は強調します。

「中小企業はトップが即断即決で事業展開できるところが強み。しかも今は低金利ですから、借り入れもしやすいです。もちろん、借り入ればかりに頼るのはリスクがありますが、手元にある程度のキャッシュがあれば、新しいことにチャレンジしやすいのです。しかも、インターネットインフラが整っているから低コストで事業を展開できます。まさに、中小企業に千載一遇のチャンスが来ています」


どんなに素晴らしい製品でも、それを知ってもらわなければ売れません。だからこそスズキ機工は、大きな果実を手にする見込みをしっかり持ったうえで、プロモーションに多額の投資をしています。もちろん、ただコストをかければいいのではありません。展示会に出すなら客足が途絶えないための工夫が必要ですし、インターネットを使ったプロモーションでは自分たちで費用対効果を高める努力が求められます。そうした工夫と努力を惜しまなければ、中小企業も全国区の会社になることができる。スズキ機工がそのことを証明しています。

次回はスズキ機工が大切にしている経営理念と理念浸透、社会貢献の考え方などを紹介します。

スズキ機工株式会社

Profile:スズキ機工株式会社

1971年設立。18L缶製造装置のメンテナンスから事業をスタート。製缶機械の開発・販売、製缶プラントの輸出へと業務拡大するも、バブル経済崩壊のあおりを受けて経営危機に。食品業界向けを中心とする産業自動機械事業へ業務転換し、息を吹き返す。地域密着で事業を展開しつつ、その中で見つけたニーズを商品化。「LSベルハンマー」「ベルシザー」などヒット商品を連発。さらに社会福祉法人と連携し、事業を通じて授産施設利用者の自立を目指す社会貢献活動を展開している。

弥生マルシェ編集部
著者:弥生マルシェ編集部
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